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旅行の準備

執筆者:

Christopher Sanford

, MD, MPH, DTM&H, University of Washington;


Alexa Lindley

, MD, MPH, University of Washington School of Medicine

レビュー/改訂 2022年 8月
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本ページのリソース

健康な人にとっても、旅行の準備は重要です。旅行中の病気やけがの治療費に比べれば、出発前の適切な準備にかかる費用などはるかに安いものです。

旅行前に、患者と医療提供者は、予定されている旅程、関連する病歴、推奨される 予防接種 予防接種の概要 予防接種(ワクチン接種)は、特定の細菌やウイルスが原因で起こる病気から体を守る助けとなります。 免疫(特定の細菌やウイルスによって引き起こされる病気から自らを守る体に備わった能力)には、細菌やウイルスにさらされることで自然に生じるものと、ワクチン接種を受けることで人為的に得られるものがあります。ある病気に対してワクチンを接種すると、その病... さらに読む マラリア マラリア マラリアは、5種のマラリア原虫(Plasmodium)のいずれかによって引き起こされる赤血球の感染症です。マラリアは発熱、悪寒、発汗、全身のだるさ(けん怠感)のほか、ときに下痢、腹痛、呼吸窮迫、錯乱、けいれん発作を引き起こします。その他の所見としては、脾臓の腫大や貧血(感染した赤血球が破壊されるのが原因です)のほか、ときに心... さらに読む 旅行者下痢症 旅行者下痢症 旅行者下痢症は、上水道の整備が不十分な国や地域に旅行した人によくみられる、下痢、吐き気、嘔吐を特徴とする感染症です。 旅行者下痢症の原因には、細菌、寄生虫、ウイルスがあります。 通常、この病気の原因になる微生物は食べものや水から感染し、特に水道水が十分に処理されていない可能性のある発展途上国で発生します。... さらに読む などの感染症を予防するための対策、けがを避けるためのアドバイスについて確認すべきです。高齢の旅行者の場合、最も一般的な死因は心臓発作と脳卒中です。その他の旅行者にとって、最も一般的な死因は交通事故です。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、旅行者に対して、旅行前で出発にできるだけ近い時期(3日以内)にウイルス検査による COVID-19 COVID-19 新型コロナウイルス感染症、すなわちCOVID-19(コビット・ナインティーン)は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)と命名されたコロナウイルスの一種によって引き起こされ、重症化する可能性がある急性呼吸器疾患です。 COVID-19の症状はかなり多彩です。 COVID-19の診断には2種類の検査法が用いられます。... さらに読む の検査を受けることを検討するよう推奨しています(CDC:COVID-19と旅行[CDC: COVID-19 Travel]を参照)。さらに、旅行者は未使用のCOVID-19検査キットを携帯しておくと、旅行中に検査をすることができます。未使用の検査キットは、一般的に機内持ち込み手荷物と機内預け入れ荷物のどちらにも入れることができます(米国運輸省:旅行を計画する[US Department of Transportation: Plan Your Travel]を参照)。

旅行用医療キット

旅行用医療キットは、軽いけがや体調不良の際に役立ちます。以下のものが入っていると役立ちます。

  • 応急手当用品(包帯、テープ、弾性包帯など)

  • 痛み止め(アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬など)

  • 鼻閉改善薬(フェニレフリンなど)

  • 制酸薬

  • 抗菌薬

  • 下痢止め薬(ロペラミドなど)

また、1%ヒドロコルチゾンクリーム、市販されている抗真菌性クリーム、抗菌薬の軟膏のような外用薬についても考慮するべきです。

旅行用医療キット、処方薬、予備の眼鏡や他の矯正用レンズ(同様にいずれかの処方せん)、補聴器のバッテリーは、機内預け入れ荷物の紛失や盗難、到着の遅延に備えて機内持ち込み手荷物に入れるべきです。特別な食事のニーズや医療的ニーズがある人は慎重に計画し、自身の食物や医療用品を携帯すべきです。主要な問題は多くの場合、常識的な事前対策で防げます。

米国運輸保安庁(TSA)は、90mLを超える液体やゲルの入った容器を通常の旅客機に持ち込むことを禁止していますが、医学的に必要な液体や、ゲル、エアロゾルについては、旅行での妥当な量であれば、それより多い量を持ち込むことを許可しています。これらの物品は、保安検査場でTSA職員に申告しなければなりません(tsa.govを参照)。

旅行保険

旅行先でも、健康保険は重要です。国内旅行であっても、一部の保険プランは旅行先での医療の適応範囲を制限しています。したがって、旅行者は保険契約の適用範囲を正しく知っておく必要があります。

外国旅行では、適用範囲はより頻繁に問題になります。入国するためにいくつかの予防接種の実施を求める国もありますが、米国の保険プランの中には外国旅行目的の予防接種や予防薬が支払い範囲に含まれないものもあります。米国の高齢者医療保険であるメディケアや他の商業的な健康保険プランの多くは外国では無効であり、国外でかかった治療費はカバーされません。加えて、治療前に前金または即金での全額支払いを求める病院もあります。

外国での高額出費や治療が受けられないという不幸な事態を回避するために、旅行者は外国旅行が保険でカバーされるのか、もしカバーされる場合はその範囲、治療を受ける場合に事前の許可が必要かどうか、どのように保険金を請求すればよいかなどを事前にチェックしておく必要があります。旅行保険は、緊急時の搬送を手配してくれるものも含めて、多くの代理店、トラベルサービス窓口や大手クレジットカード会社を通じて購入可能です。旅行者は、以下のようなサービスの費用をカバーする旅行保険を購入するとよいでしょう。

  • 救急治療(外国を旅行する人のうち約30人に1人が救急治療を必要とする)

  • 外国内での移送または帰国移送(医療スタッフ、医療器具や治療を伴う)

  • 口腔ケア

  • 出生前後のケア

  • 紛失や盗難に遭った処方薬

  • 医療通訳

非営利団体である、旅行者への医療支援のための国際協会(International Association for Medical Assistance to Travellers[IAMAT]―www.iamat.org)は、世界各都市の英語を話せる医師の一覧表を公開しています。世界各地の英語を話せる医師の住所氏名一覧表は、いくつかの機関やウェブサイトで入手できます。米国領事館は、緊急時に必要な医療サービスを旅行者が特定し、確実に受けられるよう手助けをします。

旅行のための予防接種

大半の発展途上国への旅行者にとって予防接種は重要であり、入国に予防接種が必要な国もあります。旅行に必要な予防接種を受け、 定期予防接種 予防接種の概要 予防接種(ワクチン接種)は、特定の細菌やウイルスが原因で起こる病気から体を守る助けとなります。 免疫(特定の細菌やウイルスによって引き起こされる病気から自らを守る体に備わった能力)には、細菌やウイルスにさらされることで自然に生じるものと、ワクチン接種を受けることで人為的に得られるものがあります。ある病気に対してワクチンを接種すると、その病... さらに読む COVID-19 COVID-19 新型コロナウイルス感染症、すなわちCOVID-19(コビット・ナインティーン)は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)と命名されたコロナウイルスの一種によって引き起こされ、重症化する可能性がある急性呼吸器疾患です。 COVID-19の症状はかなり多彩です。 COVID-19の診断には2種類の検査法が用いられます。... さらに読む の予防接種を含む)をすべて受けておくために、旅行の6~8週間前にはかかりつけの医療機関を受診することが望ましいでしょう。国際予防接種証明書は予防接種の種類と接種日を文書で証明するものです。証明書は携帯しやすく、米国ではトラベルクリニックや連邦政府の印刷局で発行されます。

持病のある人の旅行の準備

持病のある人が旅行する際は、病状に応じた準備が必要です。旅行前に必ず主治医の診察を受け、容態が安定していることをチェックし、薬の変更が必要かどうかを検討します。以下のような情報を詳しく書いた、医療情報の文書を用意しておけば、緊急時に非常に役立ちます。

  • 予防接種

  • 主要な診断検査の結果

  • 治療を受けた日やその種類

旅行者はこのような医療情報の書類作成を医師に依頼することを検討すべきです。緊急的で生命を脅かすような症状や錯乱、意識不明を引き起こしうる病気(糖尿病、けいれん、重いアレルギー反応など)がある人は、医療情報を刻印したブレスレットやネックレスを必ず身に着けるようにします。心臓病の持病がある旅行者は、最近とった心電図のコピーを携帯する必要があります。また、医療保険書類も同様に携帯する必要があります。

緊急時に正確な薬剤名や摂取方法の指示を再確認できるように、薬はもとの容器に保管しておくべきです。薬の製品名は国によって違うため、薬の一般名の方が製品名よりも役に立ちます。

空港で預けたスーツケースの紛失や盗難、乗り継ぎによる荷物の遅れ、帰りの便の遅れなどに備えて、機内持ち込み手荷物にも薬の予備を入れておきましょう。オピオイド薬や注射器、大量の薬は警備員や通関職員に疑われることがあるため、これらが医療上必要であると説明する医師の証明書を必ず携行します。注射器は、その注射器で使用する薬と一緒に保管していなければなりません。また、こうした医療用品を携帯して、支障なく旅行するためにほかに準備すべき文書があるかどうか、空港、航空会社、訪問国の大使館などに照会するとよいでしょう。米国運輸保安局の規制(United States Transportation Security Administration[TSA] regulations)も参照してください。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

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