ロタウイルス感染症

執筆者:Brenda L. Tesini, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 2021年 7月
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やさしくわかる病気事典

ロタウイルスは一般的なウイルスで、非常に感染力が強く、嘔吐下痢を引き起こします。

  • ロタウイルスは消化管のウイルス感染症を引き起こし、重度の脱水が生じることがあります。

  • 典型的な症状としては、発熱、嘔吐、水様性下痢などがあります。

  • 診断は症状に基づいて下されます。

  • 定期予防接種でロタウイルス感染症を予防できます。

  • ほとんどの小児は安静と水分の摂取で回復しますが、一部は輸液(静脈内投与)を行います。

ロタウイルスは、生後3~15カ月の幼児における、脱水を伴う重症の下痢を引き起こす最も一般的な原因です。ロタウイルスは、胃腸炎を引き起こすウイルスの一種です。ロタウイルスワクチンが使用できるようになる前の米国では、毎年約50,000~70,000人の5歳未満の小児がロタウイルスによる下痢のために入院していました。米国ではロタウイルスが原因で死亡する小児はほとんどいませんが、世界全体では毎年約215,000人の5歳未満の小児が死亡しています。その大半が低所得国に住んでいる小児です。

ロタウイルスは人から人へと広がり、特に、下痢をしている人が排便後にしっかり手を洗わないと感染しやすくなります。感染している人の便に汚染されたもの(おむつや玩具など)に触れた後に口を触った場合も感染が生じることがあります。感染者の便により生じる感染はすべて糞口感染と呼ばれます。また、ウイルスで汚染された食べものや水を飲食して感染する場合もあります。感染している乳児と濃厚な接触をもつことで成人も感染する可能性がありますが、重篤な病気となることはまれです。

気候が温暖な地域の冬に起こり、乳幼児の入院が必要になるような重篤な下痢の大半は、ロタウイルスによるものです。米国では、2006年にロタウイルスワクチンが使用されるまで、例年、ロタウイルスによる病気の増加が11月に南西部から始まり、3月に北東部で終息していました。現在では、ロタウイルス感染症の予測性は低下し、1年を通して起こる可能性があります。

知っていますか?

  • ロタウイルス感染症は年間50万件の死亡を引き起こしており、そのほとんどが発展途上国でみられます。

ロタウイルス感染症の症状

ロタウイルス感染症の症状は、熱と嘔吐に続いて水のような下痢が現れ、この下痢は一般的には5~7日間続きます。体から失われた水分を補充しなければ、しばしば脱水に陥ります。脱水により、衰弱して元気がなくなり、口腔乾燥と頻脈(脈が速くなること)が起きます。

ロタウイルス感染症の診断

  • 医師による評価

流行していることを確認しようとする場合を除き、ロタウイルスを検出するための検査は通常行われません。必要な場合は、便のサンプルを検査機関に送って迅速検査を行います。

ロタウイルス感染症の予防

  • 良好な衛生状態を保つ

  • ロタウイルスワクチン

胃腸炎を予防する上で最善の方法は、良好な衛生状態を保つことです。発症した小児とその家族は頻繁に手を洗う必要があります。

手の衛生

ロタウイルスの感染予防には2つのワクチンが使用できます。ロタウイルスワクチンは、乳児期の定期接種が推奨されるワクチンの1つになっています。使用するワクチンによりますが、2回か3回の経口接種を、米国では生後2カ月と4カ月の時点か、または生後2カ月、4カ月、6カ月の時点に行います【訳注:日本では、生後2カ月、3カ月の時点や、2カ月、3カ月、4カ月の時点など】。

ロタウイルス感染症の治療

  • 床上安静と水分補給

ロタウイルスに対する特別な治療法はありません。ほとんどの小児は、床上安静と十分な水分補給で回復します(胃腸炎の治療も参照)。症状が重篤な場合は輸液(静脈内投与;小児の脱水を参照)が必要になることがあります。

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