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小児における精神障害の概要

執筆者:

Josephine Elia

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2021年 4月
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やさしくわかる病気事典

うつ病 小児と青年におけるうつ病および気分調節症 うつ病では、悲しみ(あるいは小児と青年ではいらだち)の感情や、活動への興味の喪失などがみられます。うつ病では、これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすようになるか、かなりの苦痛が生じます。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続しま... さらに読む 不安症 小児と青年における不安症の概要 不安症(不安障害とも呼ばれます)は、実際の状況と釣り合わない強い恐怖、心配、脅威によって日常生活に大きな支障をきたすことを特徴とする病気です。 不安症には多くのタイプがありますが、恐怖や心配が向けられる主な対象によって区別されます。 不安症の小児の多くは、腹痛などの身体症状を理由に学校へ行くことをしばしば拒みます。... さらに読む 摂食障害 摂食障害 などのいくつかの重大な精神障害(精神の病気)は、しばしば小児期や青年期に発症します。 統合失調症 小児と青年における統合失調症 統合失調症は、思考、知覚、対人関係における行動の異常を伴い、対人関係や生活機能にかなりの問題を引き起こす慢性的な病気です。 6カ月以上持続します。 統合失調症は、脳の化学的な異常や、脳の発達中に生じた問題から発症するのだろうと考えられています。 青年は引きこもり、異常な感情を抱くようになり、通常は幻覚や妄想が生じます。... さらに読む および関連する精神障害(精神病性障害と呼ばれることもあります)を発症することははるかにまれです。しかし、そのような精神障害を発症する場合、一般的には青年期中期から成人初期(30歳代半ばまで)の間にみられます。 なかには 自閉症 自閉スペクトラム症 自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害とも呼ばれます)は、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、限定的な行動または反復行動がみられる病気です。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手です。... さらに読む など、小児期に限って発症する病気もあります。

20%もの小児と青年が、何らかの障害を引き起こす診断可能な精神障害を有している可能性があります。何らかの精神障害と診断されるリスクは年齢とともに上昇します。ある推計によると、13~17歳の青年の約30%が2つ以上の精神障害の基準を満たします。環境的なストレス因子(例えば、COVID-19のパンデミック)により、重要な日課や人間関係が破綻することで、本来は回復力をもった小児や青年でさえも、精神障害を発症しやすくなる可能性があります。

わずかな例外を除けば、精神障害の症状は、どんな小児でも経験する悲しみ、怒り、疑念、興奮、引きこもり、孤独などの感情に似る傾向があります。精神障害と正常な感情との違いは、その感情が強烈なあまり、日常生活に支障をきたしたり、本人にとって苦痛になったりしている程度の差にあります。そのため、ある種の考えや感情が本人にとって正常な経験でなくなり、病気の域に達しているかどうかを診断するために、明確な判断基準を用いる必要があります。

知っていますか?

  • 精神障害と正常な感情との違いは、その感情が強烈なあまり、日常生活に支障をきたしたり、本人にとって苦痛になったりしている程度の差にあります。

破壊的行動障害では、主に行動面に異常がみられます。破壊的な行動は意図的なものではありませんが、教師、同年代の仲間、家族などの他者に迷惑をかけることがあります。この種の病気には以下のものがあります。

小児では、神経発達障害が精神衛生と発達全般の両面に影響を及ぼす場合があります。この種の病気には以下のものがあります。

自閉スペクトラム症は、対人関係上の障害、興味の対象の狭まり、言語発達障害と言語使用上の問題などが生じる病気で、ときに知的障害も伴います。レット症候群は、社会的技能とコミュニケーションの面で問題があるなど、自閉スペクトラム症と同様の症状がみられる遺伝性の病気です。

小児における精神障害の診断

  • 観察

  • ときに特別に考案された問診と評価ツール

精神障害の診断を確定できる検査はありません。医師は精神障害かどうかを判断する上で、小児や青年への問診と親や教師の観察、そして受診時に行う問診と観察を重視します。ときに医師から、小児や青年の精神障害を診断して治療する専門の訓練を受けた精神医療従事者が紹介される場合もあります。そのような精神医療従事者は、小児の評価用に特別に考案された問診法や評価ツールを用いることがあります。

脆弱X症候群 脆弱X症候群 脆弱X症候群は、X染色体の異常の1つで、知的障害と行動面の問題が現れます。 染色体は、細胞の中にあって DNAや多くの遺伝子が格納されている構造体です。遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としてはDNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は... さらに読む レット症候群 レット症候群 レット症候群は、遺伝的問題によって引き起こされるまれな 神経発達障害で、ほぼ女児だけにみられ、生後6カ月間正常な発達がみられた後、発達に異常が現れます。 レット症候群は遺伝子変異によって引き起こされます。 症状としては、正常な発達が最初にみられた後、言語と社会的な技能が低下します。... さらに読む ディジョージ症候群 ディジョージ症候群 ディジョージ症候群は、出生時に胸腺がまったくないか、あっても未発達となる先天性の免疫不全疾患の一つで、 T細胞(白血球の一種で異物や異常細胞を識別し、破壊するのを助ける)に問題が生じます。その他の先天異常もみられます。 ディジョージ症候群の小児には、心臓の異常、副甲状腺未発達または欠如、胸腺の未発達または欠如、特徴的な顔つきなど、いくつか... さらに読む などの神経発達障害がないか確認する血液検査を行うこともあります。

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