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小児と青年における不安症の概要

執筆者:

Josephine Elia

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2021年 4月
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やさしくわかる病気事典

不安症(不安障害とも呼ばれます)は、実際の状況と釣り合わない強い恐怖、心配、脅威によって日常生活に大きな支障をきたすことを特徴とする病気です。

  • 不安症には多くのタイプがありますが、恐怖や心配が向けられる主な対象によって区別されます。

  • 不安症の小児の多くは、腹痛などの身体症状を理由に学校へ行くことをしばしば拒みます。

  • 通常は症状に基づいて診断を下しますが、ときに検査を行って、しばしば不安によって引き起こされる身体症状が生じる病気がほかにないことを確認します。

  • 多くの場合、行動療法だけで十分ですが、不安がひどい場合には薬剤が必要になることもあります。

どんな小児でも、ときには何らかの不安を抱くものです。例えば、3~4歳の小児はよく暗闇や怪物を恐れます。年長児や青年は、しばしばクラス全員の前で読書感想文を発表するときに不安になります。このような恐怖や不安は、病気の徴候ではありません。しかし、非常に不安になり、日常生活に支障をきたしたり、強い苦痛を感じたりしている場合は、不安症の可能性があります。研究結果によると、6歳児の約3%、青年期男子の5%、青年期女子の10%に不安症がみられます。不安症がある小児は、後年に うつ病 小児と青年におけるうつ病および気分調節症 うつ病では、悲しみ(あるいは小児と青年ではいらだち)の感情や、活動への興味の喪失などがみられます。うつ病では、これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすようになるか、かなりの苦痛が生じます。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。気分調節症では、いらだちが続き、制御できない行動が頻繁にみられます。... さらに読む 自殺行動 小児と青年における自殺行動 自殺行動とは、自分に害をなすことを意図した行動で、自殺演技、自殺企図、および自殺既遂が含まれます。希死念慮とは、自殺について考え計画することを指します。自殺企図とは、首つりや入水など、死につながる可能性がある自身に害をなす行為のことです。 うつ病などの精神障害がある小児では、ストレスになる出来事が引き金となって自殺することがあります。 自殺の危険性のある小児は、抑うつや不安があったり、何もやりたがらず引きこもっていたり、死に関する話をし... さらに読む アルコール アルコール性肝疾患 アルコール性肝疾患は、長期にわたる大量の飲酒によって肝臓に損傷が起きる病気です。 一般に、飲酒の量、頻度、期間によって肝傷害のリスクと重症度が決まります。 最初は無症状ですが、次第に発熱、黄疸、疲労がみられるようになり、肝臓は圧痛や痛みが生じて大きくなり、やがて消化管出血や脳機能低下などの、より深刻な問題が現れます。... さらに読む アルコール性肝疾患 および 物質使用障害 物質関連障害の概要 薬剤やその他の物質は、それが合法な医療上の用途で使用されるものか、習慣的に使用されるものか(例えば、カフェイン)、娯楽目的で使用されるものか(レクリエーショナルドラッグ)にかかわらず、多くの人々にとって日々の生活に不可欠なものとなっています(表「 医療上の用途と娯楽的な用途が両方ある薬物」を参照)。... さらに読む 、ならびに 学業困難 学習障害と発達障害 を起こすリスクが高いです。

不安になりやすい体質は遺伝します。親が不安を抱きやすいと、小児も不安を抱きやすくなります。

不安症には次のようなものがあります。

症状

不安症の小児の多くは、学校に行くことを拒みます。不安症の小児には分離不安、社交不安、パニック症などが認められたり、こうした障害が組み合わさっていたりすることがあります。

なかには不安について具体的に話す小児もいます。例えば、「もう二度とあなたに会えなくなるかもしれないから心配だ」(分離不安)、「みんなが自分を笑うかもしれないのが心配だ」(社交不安症)と言うかもしれません。しかし、ほとんどの小児は腹痛などの身体症状を訴えます。多くの場合、このような小児は嘘をついておらず、不安のために実際に胃の調子がおかしくなったり、吐き気がしたり、頭痛や睡眠障害が生じたりしています。

不安症の小児の多くは、成人期になっても不安と闘っています。しかし早期に治療を行えば、多くの小児が不安のコントロール法を学びます。

診断

  • 症状

不安症の診断は通常、小児や親による症状の説明が典型的な症状と一致することで下されます。しかし、医師は不安から生じている身体症状を誤って解釈して、不安症の可能性を考慮する前に身体的な病気に対する検査を行うことがあります。

治療

  • 行動療法

  • ときに薬剤

不安が軽度の場合は、通常は 行動療法 行動療法 精神障害の治療は大きな進歩を遂げています。その結果、多くの精神障害に関する治療成績が身体的な病気に近い水準まで向上してきています。 精神障害に対する治療法の大半は、以下のいずれかに分類できます。 身体的な治療法 精神療法(心理療法) 身体的な治療法としては、薬物療法と電気けいれん療法のほか、脳を刺激する治療法(経頭蓋磁気刺激療法や迷走神経刺激療法など)などがあります。 さらに読む だけで十分です。精神療法士は、不安を引き起こす状況に小児をおき、その状況に小児がとどまっていられるように助けます。このようにしていくと、小児は不安に対する敏感性を和らげるため、前よりも不安を感じなくなります。妥当であれば、同時に親の不安を治療することがしばしば助けになります。

不安が重度の場合は、薬剤を使用することもあります。薬物療法が長期間必要な場合は、フルオキセチンやセルトラリンなどの 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) アゴメラチン(agomelatine)は、新しいタイプの抗うつ薬で、うつ病エピソードの治療法になる可能性があります。 うつ病の治療には数種類の薬剤が使用できます。 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) 新規抗うつ薬 複素環系抗うつ薬 さらに読む (SSRI)と呼ばれる抗うつ薬が第1選択となります。ほとんどの小児はSSRIを問題なく服用できますが、なかには胃の不調、下痢、不眠症、体重増加がみられる小児もいます。少数ですが、落ち着きをなくしたり、より衝動的になる人もいます。抗うつ薬によって、小児や青年が自殺について考えたりするリスクが若干高まる可能性のあることが、懸念されています(抗うつ薬と自殺 抗うつ薬と自殺 うつ病では、悲しみ(あるいは小児と青年ではいらだち)の感情や、活動への興味の喪失などがみられます。うつ病では、これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすようになるか、かなりの苦痛が生じます。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。気分調節症では、いらだちが続き、制御できない行動が頻繁にみられます。... さらに読む を参照)。

薬物療法が短期間のみ必要な場合(医学的処置の前に小児が非常に強い不安を感じている場合など)、ベンゾジアゼピン系薬剤(鎮静薬の一種)が通常は使用されます。

全体としては、SSRIを認知行動療法と呼ばれる 認知療法 認知療法 精神障害の治療は大きな進歩を遂げています。その結果、多くの精神障害に関する治療成績が身体的な病気に近い水準まで向上してきています。 精神障害に対する治療法の大半は、以下のいずれかに分類できます。 身体的な治療法 精神療法(心理療法) 身体的な治療法としては、薬物療法と電気けいれん療法のほか、脳を刺激する治療法(経頭蓋磁気刺激療法や迷走神経刺激療法など)などがあります。 さらに読む の一種と併用することで、症状を最も改善できます。認知行動療法は、構造化された短期の対話療法で、困難な状況により効果的に対処できるようにするべく、患者が否定的な思考パターンを特定し、それに挑戦するのを手助けするように計画されます。

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