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食後低血圧

執筆者:

Andrea D. Thompson

, MD, PhD, University of Michigan;


Michael J. Shea

, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan

レビュー/改訂 2022年 8月
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食後低血圧とは、食後に血圧が過度に低下する状態です。

  • めまい、ふらつき、転倒などの症状がみられます。

  • 食後低血圧と診断するには、食前と食後に血圧を測定します。

  • 少量の低炭水化物食を頻繁にとることが症状の軽減に役立つことがあります。

食後低血圧は、高齢者では3人に1人という高い頻度で起きますが、若年者ではほとんどみられません。特に食後低血圧を起こしやすいのは、血圧が高い人と、自律神経系(体内の機構を調節している神経系)を制御している脳の中枢に異常が出る病気がある人です。そのような病気の例としては、 パーキンソン病 パーキンソン病 パーキンソン病は、脳の特定の領域がゆっくりと進行性に変性していく病気です。特徴として、筋肉が安静な状態にあるときに起こるふるえ(安静時振戦)、筋肉の緊張度の高まり(こわばり、筋強剛)、随意運動が遅くなる、バランス維持の困難(姿勢不安定)などがみられます。多くの患者では、思考が障害され、認知症が発生します。 パーキンソン病は、動きを協調させている脳領域の変性によって起こります。... さらに読む 多系統萎縮症 自律神経疾患 糖尿病 糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に生産しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 糖尿病は神経の損傷をもたらし、触覚の問題を引き起こします。... さらに読む などがあります。

腸が食物を消化するには大量の血液が必要になります。そのため食後に血液が腸に集まると、全身の血圧を維持しようとして心拍数が上昇し、腸以外の部分の血管が収縮しますが、一部の高齢者では、このような仕組みが十分に機能しないことがあります。その場合、血流は正常に腸へ集まりますが、血圧を維持できるほど十分に心拍数が上昇せず、血管も収縮しません。その結果、血圧が低下します。

食後低血圧では、めまい、ふらつき、気が遠くなる、転倒などが起こります。高齢者で食後にこのような症状がみられた場合は、食前と食後の血圧を測定して、原因が食後低血圧かどうかを確かめる必要があります。

食後低血圧の治療

  • 服薬のタイミングと食事前後の活動の調整

食後低血圧の症状がみられる人は、食前に降圧薬を服用しないようにし、食後は横になって休む必要があります。降圧薬の服用量を少なくしたり、少量の低炭水化物食を頻繁にとったりすることで、食後低血圧の症状を軽減できる可能性があります。人によっては、食後に歩くことで血流が改善しますが、歩くのをやめると血圧が低下する可能性があります。

食前に特定の薬を服用することで、症状が軽くなる場合があります。例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、塩分を体内に保持することにより、血液の量を増加させます。カフェインは血管を収縮させます。カフェインの摂取は、睡眠への影響を避け、その作用に対する慣れが生じないようにするため、普段は朝食前だけに制限するべきです。

ほかの治療法で効果がみられない重度の症状がある人や入院中の人には、オクトレオチドという薬を注射して、腸への血流を減らすこともあります。

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