リハビリテーションサービスは、外傷、脳卒中、感染症、腫瘍、手術、進行性の病気(関節炎 理学療法 変形性関節症は軟骨と周囲の組織の損傷を引き起こす慢性疾患で、痛み、関節のこわばり、機能障害を特徴とします。 関節の軟骨と周囲の組織の損傷による関節炎は、加齢に伴い、非常によくみられるようになります。 痛みや腫れ、骨の過剰な増殖がよくみられ、起床時や動かずにいた後に生じて30分以内に治まるこわばり(特に関節を動かしていると治まりやすい)も一... さらに読む など)などによって正常に機能する能力を失った人に必要になります。
例えば、 慢性閉塞性肺疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患は、気道が狭くなる状態(閉塞)が持続する病気で、肺気腫や慢性閉塞性気管支炎、またはその両方に伴って発生します。 この病気の原因として最も重要なのは、紙巻タバコの喫煙です。 この病気になると、せきが出て、やがて息切れが現れます。 診断は、胸部X線検査と肺機能検査によって下されます。... さらに読む がある人には、多くの場合、 呼吸リハビリテーション 呼吸リハビリテーション プログラムが適しています。重症の外傷や手術後などの理由で寝たきりの生活が長く続き、体力が落ちている人にもリハビリテーションが必要です。 理学療法 理学療法(PT) 理学療法は、 リハビリテーションの一環であり、背中、上腕、脚に重点を置いた運動療法と整体を行います。関節や筋肉の機能を改善し、患者がより容易に立ち、バランスをとり、歩き、階段を昇れるようにします。理学療法では以下のような訓練が行われます。 関節可動域訓練 筋肉強化運動 協調・バランス運動訓練... さらに読む 、 作業療法 作業療法(OT) 作業療法は、 リハビリテーションの一環であり、基本的なセルフケア活動、有用な動作や作業、余暇活動を行う能力を高めることを目標としています。こうした活動には、基本的な日常活動(食べる、服を着る、入浴する、身だしなみを整える、トイレに行く、移乗する[いすからトイレやベッドに移る]など)や、より複雑な日常活動(食事の準備をする、電話やコンピュー... さらに読む 、 痛みや炎症の治療 痛みと炎症の治療 リハビリテーション療法士は、痛みと炎症を治療します。このような治療によって患者は体を動かしやすくなり、全面的に リハビリテーションに取り組めるようになります。実際には以下のような技法が用いられます。 温熱療法 寒冷療法 電気刺激 牽引 さらに読む 、失われた機能を補うための再訓練がリハビリテーションの中心となります。治療は通常、マンツーマンのトレーニングを何週間も継続して行います。
リハビリテーションが必要な人はどの年代にもいますが、リハビリテーションの種類、レベル、目標は年代によって様々です。高齢者に起こりがちな慢性的な機能障害のリハビリテーションは、若い人の骨折や熱傷による一時的な機能障害に対するものとは、目標も内容も異なります。例えば、過去に脳卒中を起こしたことがあり、重度の心不全がある高齢者にとっては、食事、着衣、入浴、ベッドといすの間の移動、トイレの使用、排尿と排便のコントロールなどを可能な限り自力で行う能力の回復が目標となります。若い人が骨折した場合は、できるだけ早く機能を回復させて元気に運動ができるようになることが目標になるでしょう。年齢だけがリハビリテーションの目標や強度を決定する要因ではありませんが、他の病気の存在やもともとあった制限事項は要因となりえます。
正式にリハビリテーションプログラムを始めるとき、医師はリハビリテーション医(リハビリテーション医学を専門とする医師)、作業療法士、理学療法士、リハビリテーションセンターなどに、紹介状(処方せんに似ている)を書きます。紹介状には、治療目標、病気やけがの種類と発生時期が明確に記されます。また、歩行訓練(歩行の介助)や日常生活動作の訓練など、必要な治療の種類も紹介状に記載されます。理学療法士や作業療法士は、紹介医と相談して、治療で得られた効果に基づき、これらの目標を修正することがあります。
設定
リハビリテーションを行う場所は、患者のニーズや状態で決まります。けがから回復中の人の多くは、理学療法士や作業療法士がいる施設で外来患者として治療を受けることができます。重度の障害をもつ人は、病院や入院型リハビリテーションセンターでのケアが必要になる場合があります。このような施設では、リハビリテーションチームが治療を行います。医師や理学療法士、作業療法士のほかに、看護師、心理士、ソーシャルワーカー、言語聴覚士(発語、言語能力、発声を評価)、聴覚の専門家(聴覚を評価)、その他の医療従事者、患者の家族が一緒になってチームを作ります。機能の大きな喪失は、例えば以下のようなその他の問題につながることがあるため、チームによるアプローチが最善です。
無関心
経済的困難
家庭でのケアは、出かけるのは困難でも、ベッドからいす、あるいはいすからトイレに行き来ができるなど、介助が少なくて済む人に適しています。しかしこのような場合、家族や友人にリハビリテーションを手助けしてもらわなければなりません。家族の助けを借りて家庭でリハビリテーションを行うのが最も望ましいのですが、家族には肉体的にも精神的にも負担がかかります。訪問リハビリを頼める場合は、理学療法士や作業療法士が在宅ケアを手助けしてくれます。
多くの介護施設は、リハビリテーションセンターよりも低強度のリハビリテーションプログラムを実施しています。こうしたプログラムは、フレイル(加齢に伴い筋力や心身の活力が低下した状態のこと)な人や高齢者など、激しいリハビリにあまり耐えられない人に適しています。
目標
リハビリテーションチームや理学または作業療法士は、各問題について短期的目標と長期的目標の両方を設定します。例えば、手にけがをして、可動域が制限され、筋力が低下している人の場合、短期的な目標として、一定の範囲で可動域を増やすことや、数キログラムの物を持てるほどに握力を高めることを設定します。長期的な目標として、例えば再びピアノを弾けるようになることなどを設定します。短期的な目標があると、短い間に達成する内容が明確になります。長期的な目標があると、リハビリテーションで数カ月後に何がどこまで得られるのかを把握しやすくなります。チームはこの短期目標を達成するよう患者を励まし、経過を注意深くモニタリングします。患者の気が進まなくなったり経済的な理由などで続けられなくなったとき、あるいは進行が予想より遅かったり早かった場合には、目標が変更されることもあります。
多くの状況では、目標を設定することで、患者が再び歩けるようになり、日常に欠かせない活動(服を着る、髪を整える、入浴する、自分で食事する、料理する、買い物するなど)を行えるようになる一助とします。
機能障害の程度やリハビリテーションチームの技術にかかわらず、リハビリテーションで得られる最終的な成果は、患者のやる気に左右されます。家族や友人の注意をひきたいために回復を遅らせる患者もいます。