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呼吸器系の防御機構

執筆者:

Rebecca Dezube

, MD, MHS, Johns Hopkins University

レビュー/改訂 2023年 1月
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平均的な成人は、日中に適度な運動をしている場合、1日に約2万リットルの空気を呼吸します。当然ながら、こうして吸い込んだ空気は重さ20キログラム以上あり、そこには有害な粒子やガスが含まれている可能性があります。粒子としては、ほこりやすす、カビ、真菌、細菌、ウイルスなどがあり、これらが気道や肺胞の内面に付着します。しかし、幸いなことに、呼吸器系には、気道をきれいにして体を守る防御機構が備わっています。直径が3~5マイクロメートル未満の、極めて小さな粒子だけが肺の奥へ侵入します。

線毛は、気道に並ぶ細胞上にある筋肉でできた小さな毛様の突起であり、呼吸器系の防御機構の一端を担っています。線毛によって、気道の内面を覆っている粘液の層が絶えず動いています。

粘膜層には、病原体(感染の原因となる微生物など)やその他の粒子を捕らえて、それらが肺に到達しないようにします。

線毛が1分間に1000回を超える速さで動き、気管の内面を覆う粘液層を1分間に0.5~1センチメートル(0.197~0.4インチ)程度の速度で上方へ移動させます。粘液層に捕らわれた病原体や粒子はせきとともに口腔へ戻され、食道へ飲み込まれます。

肺胞マクロファージ白血球 免疫系の構成要素 人間の体には、異物や危険な侵入物から体を守る仕組みとして、免疫系が備わっています。侵入物としては以下のものがあります。 微生物( 細菌、 ウイルス、 真菌など) 寄生虫(蠕虫[ぜんちゅう]など) がん細胞 移植された臓器や組織 さらに読む の一種で肺胞表面に存在していますが、これもまた肺の防御機構の一端を担っています。肺胞では ガス交換 酸素と二酸化炭素の交換 呼吸器系の最も基本的な機能は、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することです。吸い込まれた酸素は肺へ入り、肺胞に達します。肺胞の内面を覆う細胞の層とそれを取り巻く毛細血管は、それぞれ細胞1個分の厚みしかなく、互いに密接しています。空気と血液を隔てるこの距離は、平均すると約1マイクロメートル(1センチメートルの1/10,000)の厚さしかありません。そのため、酸素はこの空気-血液障壁をすぐに通り抜け、毛細血管の血液の中... さらに読む を行う必要があるため、肺胞は粘液層や線毛によって保護されていません。粘液があると、その厚みによって酸素と二酸化炭素の移動が遅れるためです。代わりに、肺胞マクロファージが肺胞にたまった粒子を探しあて、それに結合して取り込み、生物であれば殺傷して消化します。肺が深刻な危険にさらされると、血液中を循環している別の白血球、特に 好中球 好中球 体の防衛線(免疫系)の一部には 白血球が関わっていて、それらの白血球は血流に乗って体内を移動して組織の中に入り込み、微生物などの異物を見つけ出して攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防衛線は以下の2つの部分で構成されています。 自然免疫 獲得免疫 自然免疫は、生まれつき備わっていて、異物との遭遇を介した学習が必要ないことから、このように呼ばれています。そのため、体外から侵入してきた異物に対してすぐに反応します。しかし、この... さらに読む が集まってきて、病原体の取り込みや殺傷を助けます。例えば、大量のほこりを吸い込んだり、呼吸器感染症にかかったりしたときは、大量の マクロファージ 単球とマクロファージ 体の防衛線(免疫系)の一部には 白血球が関わっていて、それらの白血球は血流に乗って体内を移動して組織の中に入り込み、微生物などの異物を見つけ出して攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防衛線は以下の2つの部分で構成されています。 自然免疫 獲得免疫 自然免疫は、生まれつき備わっていて、異物との遭遇を介した学習が必要ないことから、このように呼ばれています。そのため、体外から侵入してきた異物に対してすぐに反応します。しかし、この... さらに読む がつくられるとともに、好中球が補充されます。

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